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 『婦系図』 青空文庫

 と言う、呼吸《いき》も引かず、早瀬は目を〓《みは》って茫然とした。
 昨夜《ゆうべ》の事の不思議より、今目前《まのあたり》の光景を、かえって夢かと思うよう、恍惚《うっとり》となったも道理。
 看護婦の白衣にかさなって、紫の矢絣《やがすり》の、色の薄いが鮮麗《あざやか》に、朱緞子に銀と観世水のやや幅細な帯を胸高に、緋鹿子の背負上《しょいあ》げして、ほんのり桜色に上気しながら、こなたを見入ったのは、お妙である!

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