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 『日本橋』 青空文庫

 と無遠慮に心易く、それなり声を掛けるのには――二人の間は疎遠でないが――いずれも名取りの橋の袂、双方|対の看板主、芸者同士の礼儀があるので。
 一歩とまって、二階か、それとも出窓の内か、と熟と視めて、こう、仰いだ清葉の目に、色糸を颯と投げたか、とはらりとって、稲妻のごとく瞳を射つつ沈んで輝く光があった。

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