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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

姥 御先祖代々、近くは、両、親御様まで、第一お前様に御遺言ではございませぬか。
雪 知っています。(とつんとひぞる。)
姥 もし、お前様、その浅ましい人間でさえ、約束を堅く守って、五百年、七百年、盟約《ちかい》を忘れぬではござりませぬか。盟約を忘れませねばこそ、朝六つ暮六つ丑満つ、と三度の鐘を絶《たや》しませぬ。この鐘の鳴りますうちは、村里を水の底には沈められぬのでござります。

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