検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 と事を好んだ聞きようをする。
「嘘よ、貴郎、あの方たちが、そんなことがあって可いもんですか、めの字、滅多なことは云うもんじゃありません、他の事と違うよ、お前、」
「あれ、串戯《じょうだん》じゃねえ。これが嘘なら、私《わっし》の鯛《てえ》は場違《ばちげえ》だ。ええ、旦那、河野の本家は静岡で、医者だろうね。そら、御覧《ごろう》じろ、河野ッてえから気がつかなかった。門に大《おおき》な榎《えのき》があって、榎邸《やしき》と云や、お前《めえ》、興津《おきつ》江尻まで聞えたもんだね。

 375/3954 376/3954 377/3954


  [Index]