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 『夜叉ヶ池』 青空文庫

姥 もし、お前様、その浅ましい人間でさえ、約束を堅く守って、五百年、七百年、盟約《ちかい》を忘れぬではござりませぬか。盟約を忘れませねばこそ、朝六つ暮六つ丑満つ、と三度の鐘を絶《たや》しませぬ。この鐘の鳴りますうちは、村里を水の底には沈められぬのでござります。
雪 ええ、怨《うら》めしい……この鐘さえなかったら、(と熟《じっ》と視《み》て、すらりと立直り)衆《みな》に、ここへ来いとお言い。
椿 (立って一方を呼ぶ。)召します。姫様《ひいさま》が召しますよ。

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