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 『婦系図』 青空文庫

 小児《こども》たち、幼稚《おさな》いのは、傅《もり》、乳母など、一群《ひとむれ》に、今日は別荘に残った次第。すでに前にも言ったように、この発議は英臣で、真前《まっさき》に手を拍《う》って賛成したのは菅子で、余は異論なく喜んで同意したが、島山夫人は就中得意であった。
 と云うのは、去年汽車の中で、主税が伊太利人に聞いたと云うのを、夫人から話し伝えて、まだ何等の風説の無い時、東京の新聞へ、この日の現象を細かに論じて載せたのは理学士であったから。その名たちまち天下に伝えて、静岡では今度の日蝕を、(島山蝕)――とさえ称《とな》えたのである。

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