検索結果詳細


 『婦系図』 青空文庫

 目配せをすると、お源は莞爾して俯向いたが、ほんのり紅《あか》くした顔を勝手口から外へ出して路地の中《うち》を目迎える。
「奥様《おくさん》は?」
 とその顔へ、打着《ぶつ》けるように声を懸けた。またこれがその(おう。)の調子で響いたので、お源が気を揉《も》んで、手を振って圧えた処へ、盤台《はんだい》を肩にぬいと立った魚屋は、渾名《あだな》を(め組)と称《とな》える、名代の芝ッ児。

 37/3954 38/3954 39/3954


  [Index]