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『婦系図』
青空文庫
目配せをすると、お源は莞爾して俯向いたが、ほんのり紅《あか》くした顔を勝手口から外へ出して路地の中《うち》を目迎える。
「奥様《おくさん》は?」
とその顔へ、打着《ぶつ》けるように声を懸けた。またこれがその(おう。)の調子で響いたので、お源が気を揉《も》んで、手を振って圧えた処へ、盤台《はんだい》を肩にぬいと立った魚屋は、渾名《あだな》を(め組)と称《とな》える、名代の芝ッ児。
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