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 『天守物語』 泉鏡花を読む

夫人 あの人たちの目から見ると、此処に居るのは活きたものではないのだと思ひます。
薄 それでは、あなたの御容色《ごきりやう》と、其のお力で、無理にもお引留めが可うございますのに。何の、抵抗《てむかひ》をしました処で。
夫人 否、容色《きりやう》は此方《こちら》からは見せたくない。力で、人を強ひるのは、播磨守なんぞの事、真の恋は、心と心、……(軽く)薄や。

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