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 『日本橋』 青空文庫

 露地も温室のような春の中に、そこに一人月のごとき美人や病む。
 扇に描いたは、何の花か、淡い絵具も冷たそうに、床の柱にるのが見える。
 落ちると、トンと幽な音。あの力なさは足拍子でない。……畳に辷った要の響。日ざしの白い静かさは、深山桜が散るようである。

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