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『義血侠血』
青空文庫
馭者は心ひそかに驚きたるなり。渠はもとよりこの女をもって良家の女子とは思い懸けざりき、寡なくとも、海に山に五百年の怪物たるを看破したりけれども、見世物小屋に起き臥しせる乞食芸人の徒ならんとは、実に意表に出でたりしなり。とはいえども渠はさあらぬ体に答えたりき。白糸は渠の心を酌みておのれを嘲りぬ。
「あんまり異《かわ》りすぎてるわね」
「見世物の三味線でも弾いているのかい」
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