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『春昼後刻』
泉鏡花を読む
と聞いて頷くのを見て、年紀上だけに心得顔で、危つかしさうに仰向いて吃驚した風で居る幼い方の、獅子頭を背後へ引いて、
「こん中へ入れとくだア、奴、大事に持ツとんねえよ。」
獅子が並んでお辞儀をすると、すた/\と駈け出した。後白波に海の方、紅の母衣翩翻として、青麦の根に霞み行く。
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