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 『婦系図』 青空文庫

「何だ、小父さん。」
 と云った。英臣は身心ともに燃ゆるがごとき中にも、思わず掉下《ふりおろ》す得物を留めると、主税は正面へを出して、呵々《からから》と笑って、
「おい、己《おれ》を、まあ、何だと思う。浅草田畝に巣を持って、観音様へ羽を伸《の》すから、隼《はやぶさ》の力《りき》と綽名《あだな》アされた、掏摸《すり》だよ、巾着切だよ。はははは、これからその気で附合いねえ、こう、頼むぜ、小父さん。」

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