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 『婦系図』 青空文庫

「己《おれ》が十二の小僧の時よ。朝露の林を分けて、塒《ねぐら》を奥山へ出たと思いねえ。蛙《けえろ》の面《つら》へ打《ぶっ》かけるように、仕かけの噴が、白粉の禿げた霜げた姉さんの顔を半分に仕切って、洒亜《しゃあ》と出ていら。そこの釣堀に、四人連《づれ》、皆洋服で、まだ酔の醒《さ》めねえ顔も見えて、帽子は被《かぶ》っても大童《おおわらわ》と云う体だ。芳原げえりが、朝ッぱら鯉を釣っているじゃねえか。

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