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 『縁結び』 青空文庫

 いいかけて謙造は、ハッと位牌堂の方を振向いてぞっとした。自分の胸か、君子の声か、幽《かすか》に、おっかさんと響いた。
 ヒイと、堪《こら》えかねてか、泣く声して、薄暗がりを一つあおって、い手が膝の上へばたりと来た。
 突俯《つッぷ》したお君が、胸の苦しさに悶《もだ》えたのである。

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