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『歌行燈』
従吾所好
「生命に別條は無ささうだ、しかし、しかし応へる。」
とがつくり俯向いたのが、ふら/\した。
「月は寒し、炎のやうな其の指が、火水と成つて骨に響く。胸は冷い、耳は熱い。肉〈み〉は燃える、血は冷える。あつ、」と言つて、両手を落した。
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