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 『婦系図』 青空文庫

 呪詛《のろ》われたんだ、呪詛われたんだ。お妙さんに指を差して、お前たちは呪詛われたんだ。」
 と膝に手を置き、片面《はんおもて》を、怪しきものの走るがごとく颯《さ》と暗くなった海に向けて、蝕ある凄《すご》き日の光に、底《みなそこ》のその悪竜の影に憧るる面色《おももち》した時、隼の力の容貌は、かえって哲学者のごときものであった。

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