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 『婦系図』 青空文庫

 要はただ、君が家系門閥の誇の上に、一部の間隙を生ぜしめて、氏素性、かくのごとき早瀬の前に幾分の譲歩をなさしめん希望に過ぎなかったに、思わざりき、久能山上の事あらんとは。我は偏《ひとえ》に、君の家厳の、左右一顧の余裕のない、一時の激怒を惜《おし》むとともに、清冽一塵の交るを許さぬ、峻厳なるその主義に深大なる敬意を表する。
 英吉君、能《あた》うべくは、我意を体して、より《うつくし》く、より清き、第二の家庭を建設せよ。人生意気を感ぜずや――云々の意を認《したた》めてあった。

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