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『草迷宮』
鏡花とアンティークと古書の小径
(秋谷邸の細道じゃ、
誰方が見えても……)
でござりましょう。人足が絶えるとなれば、草が生えるばっかりじゃ。ハテ黒門の別宅は是非に及ばぬ。秋谷邸の本家だけは、人足が絶やしとうないものを、どうした時節か知らぬけれど、鶴谷の寿命が来たのか、と喜十郎様は、かさねがさねおつむりが真白で。おふくろ様も好いお方、おいとしい事でござります。
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