検索結果詳細
『雛がたり』 青空文庫
黒棚、御廚子《みずし》、三棚の堆《うずたか》きは、われら町家《ちょうか》の雛壇には些《ち》と打上《うちあが》り過ぎるであろう。箪笥《たんす》、長持《ながもち》、挟箱《はさみばこ》、金高蒔絵《きんたかまきえ》、銀金具《ぎんかなぐ》。小指ぐらいな抽斗《ひきだし》を開けると、中が紅いのも美しい。一双《いっそう》の屏風の絵は、むら消えの雪の小松に丹頂の鶴、雛鶴《ひなづる》。一つは曲水の群青に桃の盃、絵雪洞《えぼんぼり》、桃のような灯を点す。……ちょっと風情に舞扇。
3/58
4/58
5/58
[Index]