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 『雛がたり』 青空文庫

 黒棚、御廚子《みずし》、三棚の堆《うずたか》きは、われら町家《ちょうか》の雛壇には些《ち》と打上《うちあが》り過ぎるであろう。箪笥《たんす》、長持《ながもち》、挟箱《はさみばこ》、金高蒔絵《きんたかまきえ》、銀金具《ぎんかなぐ》。小指ぐらいな抽斗《ひきだし》を開けると、中が紅いのもしい。一双《いっそう》の屏風の絵は、むら消えの雪の小松に丹頂の鶴、雛鶴《ひなづる》。一つは曲水の群青に桃の盃、絵雪洞《えぼんぼり》、桃のような灯を点す。……ちょっと風情に舞扇。

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