検索結果詳細


 『逢ふ夜』 従吾所好

 松次郎と云ふ弟が、浴衣の上へ、紺のめくら縞の筒袖を着て、向うの台に腰を掛けて、小鰭の鮨の酢の香、笹の葉色も散る柳で、屋台の上に唯一ツの蛍のやうな電燈と、寂しさうな睨めくらで。
「さあ、何うぞ。」
「お邪魔をしますね。」

 39/97 40/97 41/97


  [Index]