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 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 おお、おお、つい長話になりまして、そちこち刻限、ああ、可厭《いや》な芋〓《ずいき》の葉が、唄うて歩行《ある》く時分になりました。」
 と姥は四辺《あたり》を〓《みまわ》した。浪の色が蒼くなった。
 寂然《しん》として、果は目を瞑《つむ》って聞入った旅僧は、夢ならぬ顔を上げて、葭簀から街道の前後《あとさき》を視めたが、日脚を仰ぐまでもない。

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