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 『婦系図』 青空文庫

 と謂うと斉《ひと》しく、まだ酒のある茶碗を置いた塗盆を、飛上る足で蹴覆《けかえ》して、羽織の紐《ひも》を引掴《ひッつか》んで、横飛びに台所を消えようとして、
いか、」
 お蔦を見向いて面を撫でると、涼しい瞳で、それ見たかと云う目色《めつき》で、

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