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 『義血侠血』 青空文庫

「何か奢《おご》りましょうよ」
 糸は帯の間より縮緬の袱紗包みを取り出だせり。解《ひら》けば一束の紙幣を紙包みにしたるなり。
「ここに三十円あります。まあこれだけ進《あ》げておきますから、家の処置《かた》をつけて、一日も早く東京へおいでなさいな」

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