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 『薬草取』 青空文庫

 名だたる北国《ほくこく》秘密の山、さもこそと思ったけれども、
「しかし一体、医王というほど、此処《ここ》で薬草が採れるのに、何故《なぜ》世間とは隔《へだた》って、行通《ゆきかよい》がないのだろう。」
「それは、あの承《うけたまわ》りますと、昔から御領主の御禁山《おとめやま》で、滅多《めった》に人をお入れなさらなかった所為《せい》なんでございますって。御領主ばかりでもござんせん。結構な御薬《おくすり》の採れます場所は、また御守護の神々《かみがみ》仏様《ほとけさま》も、出入《ではいり》をお止《と》め遊ばすのでございましょうと存じます。」

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