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 『日本橋』 青空文庫

 お孝は寝床を出た扱帯。寛い衣紋を辷るよう、一枚小袖の黒繻子の、黒いに目立つ襟白粉、薄いが顔にも化粧した……何の心ゆかしやら――よう似合うのに、朋輩が見たくても、松の内でないと見られなかった――潰島田の艶は失せぬが、鬢のほつれは是非も無い。
 生際曇る、柳の葉越、色は抜けるほどいのが、浅黄に銀の刺繍で、これが伊達の、渦巻と見せたい蛇の半襟で、幽に宿す影が蒼い。


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