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 『絵本の春』 青空文庫

 ――旧藩の頃にな、あの組屋敷に、忠義がった侍が居てな、御主人の難病は、巳巳巳巳《みみみみ》、巳の年月の揃った若い女の生肝《いきぎも》で治ると言って、――よくある事さ。いずれ、主人の方から、内証で入費は出たろうが、金子《かね》にあかして、その頃の事だから、人買の手から、その年月の揃ったという若い女を手に入れた。あろう事か、俎《まないた》はなかろうよ。雨戸に、その女を裸《はだか》で鎹《かすがい》で打ったとな。……これこれ、まあ、聞きな。……真白《まっしろ》な腹をずぶずぶと刺いて開いた……待ちな、あの木戸に立掛けた戸は、その雨戸かも知れないよ。」

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