検索結果詳細
『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
余《あんま》り身を入れて話をする――聞く――していたので、邪魔になっては、という遠慮か、四、五人此方《こっち》を覗いては、素通《すどおり》をしたのがあります。
近在の人と見える。風呂敷包を腰につけて、草履穿きで裾をからげた、杖を突張った、白髪の婆さんの、お前さんとは知己《ちかづき》と見えるのが、向うから声をかけたっけ。お前さんが話に夢中で、気が着かなんだものだから、そのままほくほく去《い》ってしまった。
430/1510
431/1510
432/1510
[Index]