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 『五大力』 従吾所好

「今思ふと、何でも、心気惑乱、気も顛倒して居たらしい。……お十夜まゐりが、賽銭を拾ふ形で、殆ど這つたよ。
 真俯向けに、其の鼈の、甲羅に仇光りが薄く射して、人魂の泳ぐやうな奴を、すぢり、もぢり、おつと、おつと、おつと/\、……やあ、畜生め。で、追廻はして、占めたと圧へた。逆にぐい、と歯向つた首を逃げて、慌てて、つかまへ直すと、を離れて、鼈はぶらりと下る。

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