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『春昼』
泉鏡花を読む
慕はせるより、懐しがらせるより、一目見た男を魅する、力広大。少からず、地獄、極楽、娑婆も見に附絡うて居さうな婦人、従うて、罪も報も浅からぬげに見えるでございます。
処へ、迷うた人の事なれば、浅黄の帯に緋の扱帯が、牛頭馬頭で、逢
魔
時の浪打際へ引立ててでも行くやうに思はれたのでありませう――私どもの客人が――然う云ふ心持で御覧なさればこそ、其後は玉脇の邸の前を通がかり。……
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