検索結果詳細
『春昼』
泉鏡花を読む
「なあに、お前様、どうせ日は永えでがす。はあ、お静かにござらつせえまし。」
恁うして人間同士がお静かに別れた頃には、一件はソレ龍の如きもの歟、凡慮の及ぶ処でない。
散策子は踵を廻らして、それから、きり/\はたり、きり/\はたりと、鶏が羽うつやうな梭の音を慕ふ如く、向う側の垣根に添うて、二本の桃の下を通つて、三軒の田舎屋の前を過ぎる間に、十八九のと、三十ばかりなのと、機を織る婦人の姿を二人見た。
43/628
44/628
45/628
[Index]