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 『春昼』 泉鏡花を読む

 玉脇の持地ぢやありますが、此の松原は、野開きにいたしてござる。中には汐入の、一寸大きな池もあります。一面に青草で、これに松の翠がかさなつて、唯今頃は菫、夏は常夏、秋は萩、真個に幽翠な処、些と行らしつて御覧じろ。」
「薄暗い処ですか、」
「藪のやうではありません。真蒼な処であります。本でも御覧なさりながらお歩行きには、至極宜しいので、」

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