検索結果詳細


 『五大力』 従吾所好

 ト眉を撫でて、スツと鼻のさきを掠めるやうに、一角〈ウニコオル〉の牙かと思ふ、大な船の尖つた舳先が、つい其処へ、霧を綻ばして、すらりと出たんです。
 汐は高し、岸に立つて見れば、其の舷〈ふなばた〉が、を抽〈ぬ〉いて見上げるやうでね、霧に映つて、影が、手を伸ばすと届きさうだ……で、其の実どんよりとした川筋の真中に浮いて朦朧とあるが、城の壁かと思ふらん、で見えたのは真新しい五大力です。

 447/1139 448/1139 449/1139


  [Index]