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 『五大力』 従吾所好

「見る間に、小舟の数が増して、霧に浸んで七八艘にも成つたらう……苫を掛けないから、今しがたの雨に濡れしよびれた所為〈せい〉か、皆、船の中にこびりついて、海鼠か、古綿が乗つてるやうだつた。
 が、漕ぐ、と云ふより、船は皆尾鰭で魚の泳ぐ形――の底に都があるなら、此は鮒、鯰と云ふ長屋の連中だね。
 此の眷属を従へた風で、舳〈みよし〉も舷も〓乎〈すつく〉と聳えて、鷹揚に位を見せて、汐を悠々と乗りしづめて靄を払つて静に渡る……其の新しい五大力です。

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