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『五大力』
従吾所好
此の眷属を従へた風で、舳〈みよし〉も舷も〓乎〈すつく〉と聳えて、鷹揚に位を見せて、汐を悠々と乗りしづめて靄を払つて静に渡る……其の新しい五大力です。
舳を後に、船の進む方へ背〈せな〉を向けて、雛が袖口を合はせたやうに肩を細く、すらりとした半身が、舷の上に一人。何処ともない水光に、横顔の靄ながら、ほんのりと
白
く見えた、結上げた黒髪は、品の可い円髷らしい……
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