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『半島一奇抄』 青空文庫
「しかし――修善寺で使った、あのくらいなのは、まったく見た事はない、と田京あたりだったでしょう。温泉で、見知越《みしりごし》で、乗合わした男と――いや、その男も実は、はじめて見たなどと話していると、向う側に、革の手鞄《てかばん》と、書もつらしい、袱紗包《ふくさづつみ》を上に置いて、腰を掛けていた、土耳古形《トルコがた》の毛帽子を被《かぶ》った、棗色《なつめいろ》の面長《おもなが》で、髯《ひげ》の白い、黒の紋織《もんおり》の被布《ひふ》で、人がらのいい、茶か花の宗匠といった風の……」
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