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『高野聖』
泉鏡花を読む
白痴が泣出しさうにすると、然も怨めしげに流眄に見ながら、こはれ/\になつた戸棚の中から、鉢に入つたのを取り出して手早く白痴の膳につけた。
(はい。)と故らしく、すねたやうにいつて笑
顔
造。
はてさて迷惑な、こりや目の前で黄色蛇の旨煮か、腹篭の猿の蒸焼か、災難が軽うても、赤蛙の干物を大口にしやぶるであらうと、潜と見て居ると、片手に椀を持ちながら掴出したのは老沢庵。
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