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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 なるほど此の少年はこれであらう、身体は沢庵色にふとつて居る。やがてわけもなく餌食を平らげて湯ともいはず、ふツ/\と大儀さうに呼吸を向うへ吐くわさ。
(何でございますか、私は胸に支へましたやうで、些少も欲しくございませんから、又後程に頂きませう、)
 と婦人自分は箸も取らずに二ツの膳を片づけてな。」

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