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 『婦系図』 青空文庫

 とお源は飛上って、慌てて引窓を、くるり、かたり。颯と明るく虹の幻、娘の肩から矢車草に。
 その時台所へ落着いてを出した、主人《あるじ》の主税と、妙子は面を見合わせた。
「驚《おど》かして上げましょうと思ったんだけれども。」と、笑って串戯《じょうだん》を言いながら、瓶《かめ》なる花と対丈《ついたけ》に、そこに娘が跪居《ついい》るので、渠は謹んで板に片手を支いたのである。

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