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『歌行燈』 従吾所好
どかりと其処へ構へ込んだ。其の容子が膝も腹もづんぐりして、胴中ほど咽喉が太い。耳の傍から眉間へ掛けて、小蛇のやうに筋が畝くる。眉が薄く、鼻がひしやげて、ソレ其の唇の厚い事、お剰に頬骨がギシと出て、歯を噛むとガチ/\と鳴りさう。左の一眼べとりと盲ひ、右が白眼で、ぐるりと翻つた、然も一面、念入の黒痘瘡〈くろあばた〉だ。
が、争はれないのは、不具者の相格〈さうがう〉、肩つきばかりは、みじめらしく悄乎〈しよんぼり〉して、猪の熊入道もがつくり投首の抜衣紋で居たんだよ。」
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