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 『夜行巡査』 青空文庫

 かく打ち謝罪《わぶ》るときしも、幼児は夢を破りて、睡眠のうちに忘れたる、饑えと寒さとを思い出し、あと泣き出だす声も疲労のために裏涸れたり。母は見るより人目も恥じず、慌てて乳房を含ませながら、
「夜分のことでございますから、どうぞ旦那様お慈悲でございます。大眼《おおめ》に御覧あそばして」
 巡査は冷然として、

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