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 『外科室』 青空文庫

 「なぜ、そんなにおきらいあそばすの、ちっともいやなもんじゃございませんよ。うとうとあそばすと、すぐ済んでしまいます」
 このとき夫人の眉は動き、口は曲《ゆが》みて、瞬間苦痛に堪えざるごとくなりし。半ば目を〓《みひら》きて、
 「そんなに強いるなら仕方がない。私はね、心に一つ秘密がある。痲酔剤《ねむりぐすり》は譫言《うわごと》を謂うと申すから、それがこわくってなりません。どうぞもう、眠らずにお療治ができないようなら、もうもう快《なお》らんでもいい、よしてください」

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