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『婦系図』
青空文庫
「驚《おど》かして上げましょうと思ったんだけれども。」と、笑って串戯《じょうだん》を言いながら、瓶《かめ》なる花と対丈《ついたけ》に、そこに娘が跪居《ついい》るので、渠は謹んで板に片手を支いたのである。
「驚かしちゃ、私厭ですよ。」
「じゃ、なぜそんな水口からなんぞお入んなさいます。ちゃんと玄関へお出迎いをしているじゃありませんか。」
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