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『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径
(えら! 気の疾え先生だ。さまで欲しけりゃ算段のうして、柳の枝を折《おっ》ぺっしょっても引寄せて取って遣るだ、見さっせえ、旅の空で、召ものがびしょ濡れだ。)と叱言を言いながら、岸へ来たのを拾おう、と私《わし》、えいやっと蹲《しゃが》んだが。
こんな川でも、動揺《どよ》みにゃ浪を打つわ、濡れずば栄螺も取れねえ道理よ。私《わし》が手を伸すとの、また水に持って行かれて、手毬はやっぱり、川の中で、その人が取らしっけがな。……此処だあ仁右衛門、先生様も聞かっせえ。」
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