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『天守物語』 泉鏡花を読む
夫人 まあ、(図書と身を寄せたる姿を心づく)こんな姿を、恥かしい。
図書も、ともに母衣《ほろ》を被《かつ》ぎて姿を蔽ふ。
桃六 むゝ、見える、恥しさうに見える、極《きま》りの悪さうに見える、が矢張《やつぱ》り嬉しさうに見える、はつはつはつはつ。睦《むつま》じいな、若いもの。(石を切つて、ほくちをのぞませ、煙管を横銜《よこぐは》へに煙草を、すぱ/\)気苦労の挙句《あげく》は休め、安らかに一寝入《ひとねいり》さつせえ。其のうちに、もそつと、其の上にも清《すゞし》い目にして進ぜよう。
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