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 『義血侠血』 青空文庫

 されども見世物の類は春夏の二季を黄金期とせり。秋は漸く寂しく、冬は霜枯れの哀れむべきを免れざるなり。いわんや北国の雪《せつ》世界はほとんど一年の三分の一をき物の中に蟄居せざるべからざるをや。ことに時候を論ぜざる見世物と異なりて、渠の演芸はおのずから夏炉冬扇のきらいあり。その喝采《やんや》は全く暑中にありて、冬季は坐食す。

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