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 『義血侠血』 青空文庫

 その一年、その二年は、とにもかくにもかくのごとき算段によりて過ごしぬ。その三年ののちは、さすがに八方塞がりて、融通の道も絶えなむとせり。
 翌年の初夏金沢の招魂祭を当て込みて、白糸の水芸は興行せられたりき。渠は例の美しき姿と妙なる技とをもって、希有の人気を取りたりしかば、即座に越前福井なるなにがしという金主附きて、金沢を打ち揚げしだい、二箇月間三百円にて雇わんとの相談は調《ととの》いき。

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