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 『高野聖』 泉鏡花を読む

 それでも風俗のかはつた方が被入しやいますと、大事にしてお辞儀をすることだけは知つてでございますが、未だ御挨拶をいたしませんね。此頃は体がだるいと見えてお惰けさんになんなすつたよ。否、宛で愚かなのではございません、何でもちやんと心得て居ります。
 さあ、御坊様に御挨拶をなすつて下さい。まあ、お辞儀をお忘れかい。)と親しげに身を寄せて、顔を差し覗いて、いそ/\していふと、痴はふら/\と両手をついて、ぜんまいが切れたやうにがつくり一礼。

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