検索結果詳細


 『草迷宮』 鏡花とアンティークと古書の小径

 「可い加減な事をいう、狂気《きちがい》の嘉吉以来だ。お前は悪く変なものに知己《ちかづき》のように話をするが、水潜りをするなんて、猫化けの怪談にも、ついに聞いた事はないじゃないか。」
 「お前様もね、当前《あたりまえ》だあこれ、空を飛ぼうが、泳ごうが、活きた猫なら秋谷中私《わし》ら知己《ちかづき》だ。何も厭な事はねえけんど、水ひたしの毛がよれよれ、前足のつけ根なぞは、あか膚よ。げっそり骨の出た骸でねえかね。」

 481/1510 482/1510 483/1510


  [Index]