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 『歌行燈』 従吾所好

「今しがたも、な、他家〈よそ〉のお座敷、隅の方に坐つて居ました。不断ではない、兵隊さんの送別会、大陽気に騒ぐのに、芸のないものは置かん、衣服を脱いで踊るんなら可、可厭なら下げると……私一人帰されて、主人の家へ戻りますと、直ぐに酷いめに逢ひました、え。
 三味線も弾けず、踊りも出来ぬ、座敷で衣物が脱げないない、内で脱げ、引剥ぐと、な、帯も何も取られた上、台所で突伏せられて、引窓を故と開けた、寒いお月様のさす影で、恥かしいなあ、柄杓でを立続けて乳へも胸へもかけられましたの。

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