検索結果詳細


 『泉鏡花自筆年譜』 泉鏡花を読む

 昭和二年四月、改造に「卵塔場の天女」――七月、期に遅るること八ヶ月にして、「全集」成る。この集のために、一方ならぬ厚意に預りし、芥川龍之介氏の二十四日の通夜の書斎に、鉄瓶を掛けたるままの夏冷(つめた)き火鉢の傍に、其の月の配本第十五巻、蔽(おほひ)を払はれたりしを視て、思はず涙さしぐみぬ。八月、東京大阪日日新聞、新八景の記事のため十和田湖を観る、三角医学博士同遊。森林中に、奥入瀬川をさかのぼり、戸の口、休屋(やすみや)に宿り、秋田に行く。途中、湖風清冷、薄荷の浜に酒を煮る。

 48/50 49/50 50/50


  [Index]